「IPAと言えばLagunitas」アメリカクラフトビール業界の革命児

「Lagunitas IPA」という看板商品で、アメリカのクラフトビール業界にIPAというスタイルを知らしめた老舗ブリュワリー「Lagunitas Brewing」。その影響は大きく、「IPAと言えばLagunitas」というイメージが広く浸透しているほどです。小さなブリュワリーとしてスタートし、アメリカ屈指の規模を誇るまでに成長。現在では、世界各国でその味わいが楽しまれています。


創業:1993年

拠点:カリフォルニア州 ペタルーマ

年間生産量:1,072,500バレル(約125,900キロリットル、2019年実績)


アメリカのクラフトビール業界に衝撃を与えた「Lagunitas IPA」

1994年9月にブリュワリーの100回目の醸造を祝って世に送り出されたクラフトビールが、今や世界的人気を誇る代表作と言える「Lagunitas IPA」です。


その当時は、まだIPAのような度数の高くてホップの効いた苦いビールは知られておらず、アメリカのビール業界に革命をもたらしました。煮沸初期では控えめの量のホップを投入し、煮沸後期に大量のホップを注ぎ込むというホッピングテクニックを駆使して生み出された鮮烈なフレーバー。そしてはっきりと太くラベルに書かれた「IPA」の文字。当時のカリフォルニアで最初に「IPA」をフラッグシップに掲げ、「IPAといえばLagunitas」というブリュワリーイメージを世間に広く浸透させました。


また、ラグニタスのビールは、よい意味で「すべて同じ特徴的なキャラクターを持っている」と評されることが多いです。これは酵母由来のもので、創業者のトニーはそれを以下のように例えています。「一瞬聴いただけでローリングストーンズの曲だって分かるのと同じで、一瞬でラグニタスのビールだって分かるのってクールだろ。」Lagunitas Brewingは、音楽好きらしい挑発的なスタンスでありながら、しっかりとしたビジネス基盤のもとに美味しいビールを届けることでたくさんのファンを魅了し続けているブリュワリーです。


「Beer speaks, people mumble.(美味しいビールに説明は必要ない。ビール自身があなたに語りかけてくれるから。)」

Lagunitas Brewingは小さなピコブリュワリーからスタート

Lagunitas Brewingは、自家醸造を経た小さなブリュワリーとして始まり、全米屈指の規模を誇るブリュワリーに成長しました。


1992年、シカゴ出身のトニー・マギー(Tony Magee)は地元の自家醸造ショップで買ってきた5ガロン(約18.9L)の醸造キットを使いビールを造っていました。彼が初めて造ったビールは"California Common Beer"というお手軽レシピキットを用いたものでしたが、その出来は惨憺たるものでした。


そこでもう一度挑戦することにし、今度は"California Pale Ale"のお手軽レシピキットを使ってみたところ、理由はまったく分かりませんが今度はとても美味しいビールができあがりました。そのとき、ミュージシャンでもあった彼は「楽器と同じように、ビール造りも練習をすれば上達できるじゃないか」と考えました。


1993年1月に北カリフォルニアの中心地サンフランシスコから北北西に約36kmの場所にある小さな街ラグニタスで、小さなブリュワリーとしてLagunitas Brewingはスタート。創業者のトニーと彼の妻カリッサは、わずか20年余りで全米第6位の規模に成長させます。


最初は自宅のキッチンで醸造をしていましたが、その後すぐに約1.5km離れた隣町のフォレストノールズ(Forest Knolls)に約70㎡の商業用スペースに移転しました。創業当初を振り返る時、トニーはナノ・ブリュワリー(nano-brewery)より更に規模の小さいという意味でピコ・ブリュワリー(pico-brewery)と表現します。それだけ小規模なブリュワリーとしてラグニタスはスタートしました。

「全米で最も成功したブリュワリーの1つ」創業10年で醸造量は22倍に

Lagunitas Brewingは、ビジネスを始めてからブリュワリーは活況を呈していました。しかし、1994年後半にブリュワリーは近郊のペタルーマに移転するという決断を迫られます。なぜなら、醸造量がうなぎ登りに増えたことで、小さな街の下水道がブリュワリーから排出された酵母や原料のカスによって詰まり始めたことで、地元当局から下水処理設備の費用を一部負担しなければ出て行けと脅されたためです。


1998年には現在の本拠点となるペタルーマに移転。1日あたり6回もビールを醸造するなど、毎年20%を超える成長率を記録しました。創業から10年で醸造量が約22倍となるまでに成長。全米で最も成功したブリュワリーの1つとして知られるようになりました。2014年にはトニーの出身地であるイリノイ州シカゴに新しい醸造所を建設して稼働を開始しました。ペタルーマの醸造所と同規模の設備、敷地面積を有するこの醸造所により、アメリカ中部や東海岸にこれまでよりも早く「新鮮なビール」を届けることが可能となったのです。


アメリカで高い認知度を誇るIPAの歴史を切り拓いたブリュワリーの味わいを、ぜひ日本でもお楽しみください。

Lagunitas Brewingのクラフトビール紹介

Lagunitas Brewingの定番アイテム

Lagunitas IPA / ラグニタスIPA

American IPA / 6.2% / 355ml


ラグニタスの100回目の醸造を祝うビールとして造られたとてつもない量のホップを投入したIPA。ブリュワリーで造られるビールの実に50%以上を占め、IPAスタイルの宝庫アメリカでもトップクラスの販売数を誇る。


Maximus / マキシマス  

Double IPA / 8.2% / 355ml


「ダブルIPA」というカテゴリーでは収まらないほどのフレッシュなホップの香りとモルト感が口いっぱいに広がる衝撃の味わい。ホップ好きのビールマニア達が唸るほどの個性の強い代物。