チャンピオンという輝かしい受賞歴を誇る全米最高峰のブリュワリー

世界最大級のビール審査会であるGABFとWBCにてチャンピオンブリュワリーの称号を幾度となく獲得したアメリカ最高峰のブリュワリー「Firestone Walker Brewing」。伝統と自由な発想を組み合わせることで生まれる豊富なラインナップと高品質な味わいで、全米のビアギークに欠かせない存在となっています。

創業:1996年

拠点:カリフォルニア州 パソロブレス

年間生産量:525,294バレル(約61,600キロリットル、2019年実績)

Lion & Bearはイングランドとカリフォルニアを象徴

アメリカ西海岸、カリフォルニア州セントラルコースト。

サンフランシスコから南に車で約3時間半、アメリカ西海岸を南北に結ぶ国道101号線、数多くのワイナリーがひしめくパソロブレスにFirestone Walker Brewingはあります。


セントラルコースト地域のサンタ・イネス・バレーに生まれ、ワイン農家だったファイアストーン家で育ったアメリカ人のアダム・ファイアストーン、彼の義理の兄弟でイギリス出身のデビッド・ウォーカー。

まったく異なったルーツを持つ二人がサンタバーバラのワイン畑の隅で始めた小さなブリュワリーは、その後設立からわずか20年足らずのうちにGreat American Beer Festival、World Beer Cupで共に4度のブリュワリーチャンピオンの栄冠を手にし、全米最高峰の評価と名声を得る人気ブリュワリーへとその階段を駆け上ることとなります。


なお、ロゴとなっている"Lion & Bear"は、イングランドを象徴するライオンとカリフォルニア州旗のクマ。それぞれが対峙するブリュワリーロゴは創業者の二人にちなんでおり、新世界と旧世界のマッシュアップを表しています。

「エリア51」と比喩される小規模なブリュワリーからスタート

1990年代初頭、それまで人生のほとんどをワインと共に過ごしてきたファイアストーンは、クラフトビール造りを始めたいと考えるようになりました。そして、彼は義理の兄弟のウォーカーに掛け合い、共にブリュワリーを始めることを決めます。その当時のことを後にウォーカーはこう語っています。


「俺たちがブリュワリーを始めたきっかけは、単純にブリュワリーを始めるのが面白そうだったからさ。たとえば魚釣りに行きたいからボートを買おうぜ、みたいな軽い気持ちだったよ」


時の大統領ビル・クリントンが再選を果たした1996年、Firestone Walker Brewingは誕生。時を同じくして南カリフォルニア・サンディエゴでは、ストーン、バラストポイント、コロナドなどのブリュワリーが続々と創業を開始しました。


当初はワイナリーの片隅でひっそりとクラフトビール造りを行っていたため、その頃のことはのちに「エリア51」(アメリカの極秘軍事施設)と比喩されるほどの小規模なものでしたが、彼らは未だかつてない、地元地域に根付いたリージョナルブリュワリーを造ることを夢見ていました。

アメリカで最も賞賛されるブリュワーの1人「マット・ブライニルドソン」がブリューマスターに

1990年台後半から2000年台前半のクラフトビール市場は、毎年わずか数%の成長という低成長時代。しかし、Firestone Walker Brewingにとっては、重要な基盤を造り上げた時期でした。創業間もない頃はワイン造りの片手間で少量だけ作っていたものが、そのわずか数年後には年間約5,000バレル(約587kL)もの生産量を誇る規模にまで成長。醸造量増加に伴い、2001年に現在の場所であるパソロブレスに移転。彼らが愛着を込めて“Home”と呼ぶ場所です。この建物は破産してしまったSLO Brewというブリューパブが使用していたものを、そのまま買い取ったものです。


移転と同時にSLO Brewの前ブリューマスターであった“Merlin”ことマット・ブライニルドソンが新たなブリューマスターとして加入。

彼は1996年にシカゴにあるGoose Island Beer Companyでキャリアをスタートさせ、その後2000年、ブリューマスターとしてSLO Brewに招かれます。SLO Brewの破産後、彼は彼自身の仕事よりもクラフトビールのことをまず心配し、ブリュワリーのタンクの下で寝泊まりをしていました。一見すれば操業停止したブリュワリーを徘徊する浮浪者のようですが、ビールをこよなく愛するそんな彼の様子を見たオーナーの二人は彼がブリュワリーの発展に欠かせない人物と確信し、Firestone Walker Brewingのブリューマスターに招くことを決めました。


マットは、2008年にパンチの効いた王道のウェストコースト・スタイルIPAである「ユニオンジャック」を生み出すと、その翌年には兄貴分のダブルIPA「ダブルジャック」、2014年にはドイツ産ホップをフィーチャーした「イージージャック」といった一連の「ジャック」シリーズを次々世に送り出します。その活躍ぶりは目覚ましく、現在アメリカで最も賞賛されるブリュワーの一人となっています。

「メダルキラー」GABF・WBCでチャンピオンブリュワーを獲得

今日までに、全米最大のビール品評会であるGreat American Beer Festivalでは2007年、2011年、2013年、2015年の4度ブリュワリーチャンピオンに選ばれており、さらに2年に一度開催のビールのオリンピックことWorld Beer Cupにおいて2004年、2006年、2010年、2012年の二度連続、4度チャンピオンブリュワリーの栄誉に輝いています。


ビールもGreat American Beer Festivalでは2003年以来毎年様々なビールが賞に選ばれており、これまでに計47個ものメダルを獲得。World Beer Cupでも2002年以来毎回メダルを獲得し、これまでに25個のメダルを手にしています。まさしく、メダルキラーと呼ぶにふさわしい受賞歴です。

アニバーサリービールは歴史あるワインカルチャーとクラフトビールの自由な発想の交流

Firestone Walker Brewingは2006年以降、毎年11月にアニバーサリービールをリリース。日本でも、毎年必ず購入するコアなファンも少なくありません。


アニバーサリービールは、1年をかけてスモールバッチのバーレーワイン、インペリアルスタウト、インペリアルブラウンエールなど多岐にわたるストロングビールを多数醸造し、それら全てを異なる形態で寝かせて仕上げます。


ワイン用ぶどうの収穫時期と重なる9月から11月の間に、ブリュワリーでは1年に1度の一大イベントとしてファイアストーンウォーカー流の地元ワインメーカーたちとの「異業種交流術」を開催。セントラルコーストにある複数のワインメーカーが一堂に会し、そして全員が一つの部屋で膝を突き合わせ、その年のアニバーサリービールの配合を決めます。


ワインメーカーと協業する最大のメリットは、ビール造りでは決して得られない、彼らならではのブレンドのノウハウを得られること。

彼らのアニバーサリービールはアメリカンクラフトビールの自由な発想と、豊富な歴史を持つワインカルチャーが組み合わさって出来る素晴らしい一例なのです。

クラフトビール好きを飽きさせない豊富で高品質なラインナップ

看板商品のDBA、Union Jackを含む定番ライン“Lion & Bear”シリーズではPale 31、Easy Jack、Pivo、Luponic Distortion、Velvet Merlinを造っていました。


上級ラインの“Proprietor's Reserve”シリーズからはOpal、Double Jack、Wookey Jackが発売されており、“Barrelworks”という別施設で造られているさらに上級ラインの“Proprietor's Vintage”シリーズはインペリアルスタウトのParabolaからバーレーワインのSucaba、そして毎年ワインメーカーとの協業によりブレンドして造るAnniversary Aleまで幅広く展開。


その他“Barrelworks”名義の野生酵母を使用したワイルドビールや別ブランドとして展開している“805 Beer”など、ビール好きを飽きることなくとことん楽しませる、優れた品質のビールを数多く取り揃えています。


"Barrelworks"は、2013年1月にオープンしたカリフォルニア州パソロブレスのブリュワリーから車で南に1時間半ほど、サンタバーバラ郡ブエルトンにある約650.32㎡の敷地面積を持つ施設。ここは、野生酵母を用いたバレルエイジ・ワイルドビールとストロングエールの熟成やブレンド専門の施設です。テイスティングルームとレストランを併設しているほか、セルフガイドのツアーも楽しめ、ワイルドビールやバレルエイジビール造りの目的や手法などを歴史とともに紐解くことができます。

パソロブレスから遠く離れたブエルトンでオープンさせた理由は2つあり、1つ目は現在のブリュワリーが手狭で十分に広い場所が必要だったこと。そして2つ目は、約160km離れた場所にあれば、汚染のリスクを気にすることなく自由に実験的なビール造りが行えることです。


BarrelworksはFirestone Walker Brewingの新たな側面、新たな魅力として、ブリュワリーの新時代を牽引しています。


エリア51と比喩される程の小規模なブリュワリーからスタートしたFirestone Walker Brewing。現在ではメダルキラーの名をほしいままにし、アメリカを代表する最高峰のブリュワリーへと成長しました。ぜひ、Firestone Walker Brewingのバラエティ豊かで確かな味わいをお楽しみください。

Firestone Walker Brewingのクラフトビール紹介

Firestone Walker Brewingのタップルーム

Paso Robles (カリフォルニア州 パソロブレス)

Buellton (カリフォルニア州 ブエルトン)

Venice (カリフォルニア州 ベニス)

Firestone Walkerの定番ビール


Union Jack / ユニオンジャック  

IPA / 7.0% / 355ml


IPAというイギリス発祥のスタイルに敬意を払いつつ、そこにアメリカ流の革新性が“Union”を組むこのビールは、IPA革命を牽引し続ける「アメリカ西海岸」の名声をさらに確固たるものに押し上げていく。


Mind Haze / マインドヘイズ 

Hazy IPA / 6.2% / 355ml


1年もの歳月をかけて試行錯誤を繰り返し完成した、ファイアストーンウォーカーにとって最初のヘイジースタイル。一口飲むと、トロピカルフルーツのフレーバーが広がり、その中にも柔らかな苦みがあり、フルーティーさとマイルドな苦みが絶妙なバランスを取る。

DBA / ディービーエー

British Pale Ale / 5.0% / 355ml


1996年のFirestone Walker創業と当時に発売を開始、Great American Beer Festivalで金賞を3度受賞するなど、世界が認めたイングリッシュ・スタイル・ペールエールの金字塔。