Lagunitas Brewing Company / ラグニタスブリューイング

創業:1993年

拠点:カリフォルニア州 ペタルーマ

年間生産量:1,072,500バレル(約125,900キロリットル、2019年実績)

夜明け前


1992年、シカゴ出身のトニー・マギー(Tony Magee)は地元の自家醸造ショップで買ってきた5ガロン(約18.9L)の醸造キットを使いビールを造っていました。


彼が初めて造ったビールは"California Common Beer"というお手軽レシピキットを用いたものでしたが、その出来は惨憺たるものでした。


そこでもう一度挑戦することにし、今度は"California Pale Ale"のお手軽レシピキットを使ってみたところ、理由はまったく分かりませんが今度はとても美味しいビールができあがりました。


その瞬間、ミュージシャンでもあった彼はこう考えました。


「楽器と同じように、ビール造りも練習をすれば上達できるじゃないか」


と。

創業の地ラグニタス


1993年1月、カリフォルニア州ラグニタス(Lagunitas)。

北カリフォルニアの中心地サンフランシスコから北北西に約36kmの場所にあるこの小さな街で、小さなブリュワリーが産声を上げました。


その名もLagunitas Brewing Company。


トニーと彼の妻カリッサ(Carissa)は、夫妻が暮らしていたその地でわずか20年余りで全米第6位の規模に成長することとなるそのブリュワリーを立ち上げました。


最初は自宅のキッチンで醸造をしていましたが、その後すぐに約1.5km離れた隣町のフォレストノールズ(Forest Knolls)に約70㎡の商業用スペースに移転しました。


創業当初を振り返る時、トニーはナノ・ブリュワリー(nano-brewery)より更に規模の小さいという意味でピコ・ブリュワリー(pico-brewery)と表現します。


それだけ小規模なブリュワリーとしてラグニタスはスタートしました。

ペタルーマにおける急成長


ブリュワリービジネスを始めてからすぐは発酵タンクを増設するなどブリュワリーは活況を呈していましたが、1994年後半にブリュワリーは近郊のペタルーマ(Petaluma)に移転するという決断を迫られることとなりました。


醸造量がうなぎ登りに増えたことで、小さな街の下水道がブリュワリーから排出された酵母や原料のカスによって詰まり始めたことで、地元当局から下水処理設備の費用を一部負担しなければ出て行けと脅されたためでした。

そして90日後には、約790㎡の敷地面積を誇る新たな場所で彼らはビールを造っていました。


1998年には現在の本拠点となるペタルーマに移転。


当時、1日あたり6回もビールを醸造するなど、毎年20%を超える成長率を記録しました。

創業から10年で醸造量が約22倍となるまでに成長を遂げ、全米で最も成功したブリュワリーの一つとして知られるようになりました。


2014年にはトニーの出身地であるイリノイ州シカゴに新しい醸造所を建設して稼働を開始しました。

ペタルーマの醸造所と同規模の設備、敷地面積を有するこの醸造所により、アメリカ中部や東海岸にこれまでよりも早く「新鮮なビール」を届けることが可能になりました。

IPAの誕生


1994年9月にブリュワリーの100回目の醸造を祝う季節醸造として送り出された逸品が運命を決めます。


それこそが今や世界的人気を誇る「ラグニタスIPA」です。


当時はまだIPAのような度数の高くてホップの効いたビールは知られておらず、当時のビール業界や愛好家に革命をもたらしました。


煮沸初期では控えめの量のホップを投入し、煮沸後期にどかっと大量のホップを注ぎ込むというホッピングテクニックを駆使して生み出された鮮烈なフレーバー、そして目立つようにはっきりと太くラベルに書かれた「IPA」の文字は、当時のカリフォルニアで最初にして唯一の「IPA」をフラッグシップに掲げたブリュワリーであり、「IPAといえばラグニタス」というブリュワリーイメージを世間に広く浸透させていくこととなりました。


また、ラグニタスのビールはすべて同じ特徴的なキャラクターを持っていると評されます。

これは酵母由来のものであり、トニーはそれをこう例えます。

「一瞬聴いただけでローリングストーンズの曲だって分かるのと同じで、一瞬でラグニタスのビールだって分かるのってクールだろ。」

カウンターカルチャーよろしく社会に対して挑発的ですが、しっかりとしたビジネス基盤のもとに美味しいビールを届けることでたくさんのファンを魅了し続けているブリュワリーです。



Beer speaks, people mumble.


美味しいビールに説明は必要ない。ビール自身があなたに語りかけてくれるから。

タップルーム

Petaluma (カリフォルニア州 ペタルーマ)

Chicago (イリノイ州 シカゴ)

Seattle (ワシントン州 シアトル)

定番ビール

Lagunitas IPA / ラグニタスIPA

American IPA / 6.2% / 355ml


ラグニタスの100回目の醸造を祝うビールとして造られたとてつもない量のホップを投入したIPA。ブリュワリーで造られるビールの実に50%以上を占め、IPAスタイルの宝庫アメリカでもトップクラスの販売数を誇る。


Maximus / マキシマス  

Double IPA / 8.2% / 355ml


「ダブルIPA」というカテゴリーでは収まらないほどのフレッシュなホップの香りとモルト感が口いっぱいに広がる衝撃の味わい。ホップ好きのビールマニア達が唸るほどの個性の強い代物。


Super Cluster / スーパークラスター 

Double IPA / 8.0% / 355ml


最初はブリュワリースタッフ用のスペシャリティビールとして造られたが、すぐにスタッフの1番のお気に入りに。そして彼らは長年に渡って飲み続けてきたが、このビールの存在をもっと大きく広めようと決め、ついに2018年より世間に登場。